窓に影2



「カナママ、おはよう」

 本格的に目が覚めて一階に降りると、カナママが驚いた顔をした。

 そりゃそうだ。

 私がいるのを知らなかったのだから。

「どうして……?」

「ちょっと色々あって、わた兄に遊んでもらって、そのまま歩の部屋に泊まったの」

 カナママは更に目を見開いた。

「じゃあ、歩は?」

「さぁ」

 どうせ女の家にでもしけ込んでるんだろう。

 カナママ相手にそうは言わなかったが、代わりにため息が出る。

「さぁって……歩、恵里ちゃんの部屋に行ったのよ?」

「えっ?」

「何かやらかしちゃって話が長くなるから泊まるって、模試の荷物も全部持って」

 うそ……。

 それじゃ入れ違いじゃない。

 あの子のところじゃなかったんだ。

 安心とか後悔とか、いろんな感情が混ざって目眩がする。

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