窓に影2

 時間はもう10時を回っているし、模試はもう始まっている。

 今部屋に戻っても歩はいないだろう。

 呆然とする私に、カナママは暖かいココアを入れてくれた。

「恵里ちゃん、歩が何したか知らないけど……ごめんなさいね」

 カナママが謝ることないのに。

 私は首を横に振った。

「たくさん泣いたんでしょう? 目が腫れてるもの」

「うそっ」

 指で触れてみると、本当に瞼がむくんでいる。

 起きてからもぼーっとしてたから気付かなかった。

「あはは、変な顔見せちゃってごめんね。歩とはちゃんと話すつもりだし、大丈夫」

 カナママが作ってくれたココアと朝食を食べて、自宅に戻った。

 すると案の定……

「何やってたのよあんたは――!」

 母に怒鳴られた。

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