窓に影2
「歩の部屋にいたのよ。入れ違いだったみたい」
簡単に説明をしてみたが、怒りが治まらない母は、
「歩君待ってたのよ」
「亘君にまで迷惑かけて」
を何度も繰り返しながら私を説教。
20分後に解放された私はやっと自分の部屋にたどり着くことができた。
部屋には歩がいた形跡が残っている。
ベッドには部屋着、机には教科書類。
そして、テーブルにはノートをちぎった置き手紙が置いてある。
恵里へ
誤解を解きたい。
模試が3時に終わるから
その頃に南高に来てほしい。
知りたいことは洗いざらい全部話します。
あゆむ
読み終えた瞬間、私はプッと笑ってしまった。
何よ、「あゆむ」って。
男のくせに、ひらがなじゃん。
私の名前は漢字で書いてるのに。