窓に影2
私に駆け寄ってきた歩は、ガシッと両肩を掴んできた。
怒ってるのは私なのに、歩の方が怖い顔してるし。
そんな彼を横の女が止めようとした。
「ちょっと! 歩……」
は? 呼び捨て?
歩は彼女を無視して私の肩を揺らした。
「昨日何で帰ってこなかったんだよ? どこに泊まったの?」
怖かった顔は泣きそうな顔になって、私までツーンと目頭が熱くなる。
「歩の部屋にいたのよ。あたしの部屋にいるって知らなくて、あんたを待ってたの」
「は? 何それ、入れ違い?」
「そういうこと」
頭を落としてはぁーっとため息をつく歩。
その時、強い視線と同時にシャツに付いていたのと同じ香水の匂いを感じた。
連れてきた女が、ものすごーく不機嫌な顔をして私を見ている。