窓に影2

 私と目が合うとふいっと逸らし、歩の腕に触れた。

「ちょっと、私を無視しないでくれる?」

「あ、ああ」

 女は化粧はしていないけど目がクリッとしていて、肌が白くて、唇が赤い。

 痩せている私なんかより体がむちっとしていて、この年の男が好きそうなほどよいグラマラス。

 おっぱい大きいんだろうな……うらやましい。

 ちくしょう、あんた、歩の何なのさっ。

「こいつ、クラスメイトの橘朝子」

 橘さんはムスッとしたまま、

「橘です」

 と会釈。

 私もつられて、

「桐原です」

 とペコリ。

 何? この空気。

「ほら、朝子。ちゃんと説明しろ」

 あんたも呼び捨て?

 どんだけ仲良いのよ。

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