窓に影2
「というわけで、納得してくれた?」
優しく笑う歩の顔を見て、こくりと頷いた。
凍り付いていた心が安堵でトロトロと溶け出して、少し気を抜くと溶けた雫が目から出てしまいそう。
しかし、彼女のほうはまだ言いたいことがあるらしかった。
「私、まだ諦めないから」
下唇を噛み締め、さっきまで強気だった顔は、眉がハの字に傾いている。
「朝子、もういい加減……」
「どうしてこの子なの? その前の彼女を見たときは諦めようって思ったけど、やっぱりこの子には負ける気がしない」
前の彼女のことも知ってるんだ。
確かに私の前の彼女を見れば、怖気づくのも無理はない。
「どうしてそう思うんだよ」
「だって、レベルが違いすぎるもの」
「何のレベル? 俺の気持ちは学力に比例するとでも思ってんの?」
ぴしゃりとはね付ける歩は、冷たい顔をしていた。
この子、本当に歩のことが好きなんだろうな。
だから自分よりバカそうな私が彼女だなんて認めたくないんだ。
その気持ち、わかるよ。
私だって、自分よりダサい女と付き合ってたら嫌だもん。