窓に影2
「西山効果なんじゃない?」
聡美はシャーペンをクルッと回しながらこうコメント。
聞いたこともない専門用語が出てきた。
「何よ、西山効果って」
「西山と付き合うことによって生まれた効果」
「はあ?」
「落ち着いたってことよ」
落ち着いたって言われても、私は以前と何も変わっていないつもりなのに。
どこがどう落ち着いたというのだろう。
「この年の男たちはね、落ち着いた大人の雰囲気の女に惹かれたりするもんなのよ」
「大人って、あたし同い年だし」
「雰囲気よ、雰囲気。あんた最近大人しくなったじゃない」
そう言われてみれば、聡美とクラスが離れてからは教室でキャーキャー騒いだりすることもなくなった。
歩じゃなくて聡美効果なんじゃないだろうか。
あるいは、老けたか。
「ま、人生には三度モテ期が訪れるっていうじゃない。今が一回目。あーうらやましい」