窓に影2

 付き合って約3ヶ月。

 受験生の歩とは、数えるほどしか一緒に出歩いていない。

 こうして毎日互いの部屋を行き来してはいるが、やっぱりたまには外に出たい。

 外って言っても、一緒にコンビニくらいしか行かないし。

 受験が終わるまでの我慢。

 我慢はあと5ヶ月も続くのか。

 そんなことを考えてると、部屋着のポケットに入れていた携帯が震え始めた。

 電話だ。

 しかも、今日告白してきた谷村君から。

 相手が相手なだけに戸惑ってしまう。

 お断りしたはずなのに、どうしたんだろう。

 ど、どうしよう……。

 出るべきか否か。

「電話だろ? うるせーからさっさと出ろよ」

「うん……」

 歩の言葉はもっともだ。

 数秒考えた末に、私は部屋を出てわた兄の部屋に入った。

 そして、出来るだけ小さい声で話す。

「もしもし」

 一方で相手の声は予想以上に響いた。

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