窓に影2

「電話、早かったけど、もういいの?」

「うん」

 デートのお誘いだったんだよ。

 なんて言えないけど。

 歩とも満足にデートなんてできてないのに、他の男となんて。

 ねえ、歩。

 私も頑張って色々我慢するから。

 だから、一緒に頑張ろうね。



 そして、次の日、朝。

「恵里ちゃん、お願い!」

 目の前には、手を合わせる谷村君。

 右横に、聡美。

「谷村、場所わきまえてくれる?」

 聡美の冷たい言葉が辺りに響いた。

 ここは、女子トイレ前なのだ。

 女子のみが行き交うナイーブな場所で、私は再び彼にデートを申し込まれたところ。

 人の目を気にしない性格なのだろうか。

 ここまでされても答えは変わらないのに。

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