窓に影2

 トイレを利用する女子たちの視線が彼だけでなく私にも刺さる。

「ごめん。何度頼まれても、できないよ」

 これ以上注目されるのもイヤだし、聡美を連れてその場を離れた。

 谷村君は見た目はチャラそうなのに、意外としつこいタイプらしい。

 冷たい態度を取ってしまったけど、これでわかってくれればそれでいい。

 そう思っていたのは、どうやら甘かったらしい。



「恵里ちゃーん。お願い!」

 昼休みに教室にまで現れた谷村君。

 一緒に弁当を食べていたほのかちゃんがあからさまに嫌な顔をしている。

「無理」

 と突っぱねて食事に専念しようとするが、横から彼の攻撃は続く。

「いいじゃん。休みじゃなくても、放課後少し付き合ってくれるだけでいいんだ」

「無理」

 当然クラスのみんなには注目されるし、心無い男子からは「谷村頑張れ」という声さえ上がる。

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