窓に影2
「言っとくけど、少し付き合うだけだからね」
「うんうん、わかってるよ」
「変なことしないでよ」
「しないよー」
すごく嬉しそうな顔をする谷村君の顔を見ると、少しだけ安心した。
これで逃れられる、と。
その日の放課後、善は急げとさっそく希望を叶えることに。
「どこいくの?」
「とりあえず、街」
手を繋いでこようとした谷村君の手を払い、毅然とした態度で彼について行く。
放課後「仮」デートは実に平凡だった。
ファストフードを食べ、街をふらついて、近くの公園に落ち着く。
彼がしつこく誘ってきたデートは、意外にもシンプル。
こんなことなら、とっとと付き合ってあげればよかったかも。
「俺さ、結構前から恵里ちゃんのこと狙ってたんだよ」
「え? 結構前って?」
「昔過ぎて忘れた」