窓に影2
恥ずかしそうに笑う谷村君。
彼はきっと、ちょっとしつこいだけで悪い人ではないのだろう。
秋になって日が短くなり、6時近くになるともう薄暗い。
涼しくなった風が髪を舞わせた。
「気持ちは嬉しいけど、ごめんね」
こう言うのも少し心が痛む。
今までの10日間、あんなに無理無理と冷たく接してきたのに。
「そっか。彼氏のこと、好きなんだね」
「うん」
「じゃあさ……」
ふと谷村君が不敵に笑った。
それを見逃さなかった私に緊張感が走る。
「今日は彼氏に何て言ってあるの? 隣に住んでるんでしょ?」
「え……?」
谷村君がじわじわと距離を縮めてくる。
私もじわじわとあとずさり。
「友達と少し遊んで帰るって……」
「その相手が俺だと知ったらどう思うかな?」