窓に影2

 何を言ってるんだろう。

 どう思うかって、そりゃあこんなこと知れたら、独占欲の強い歩はめちゃくちゃ怒るに決まっている。

「どういうこと?」

 後ずさりながら首を傾げた私の腕を掴み、後退を阻止された。

「こういうこと」

 ヤバイ。

 そう思ったときにはもう遅かった。

 腕を引かれ、よろけるがままに頭を押さえつけられる。

 顔を思い切り動かしても、もう逃れられそうにはなかった。

 そのまま彼の顔が近づき、せめてもの拒否反応で目をギュッと閉じる。

 距離はゼロになった。

 この間、1秒もない。

 距離がゼロのまま3秒くらいだろうか。

 その間、まぶたの裏に強い光を2回感じた。

 唇が離れた瞬間、私は思いっきり彼の顔をひっぱたき、制服の袖で唇をゴシゴシ拭う。

 バチーンと、いい音が公園に響いた。

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