窓に影2

「いってぇ」

 という彼の顔は笑っている。

 彼の唇には私のリップグロスが付着し、街灯が反射してキラッと光った。

「変なことしないって言ったじゃない!」

「そうだっけ?」

 白々しい彼が、また悪人に見える。

 見えるんじゃない。

 本当にそうなんだ。

「光った……二回光った。何したの?」

 想像はつく。

 恐らく写真だ。

 周りを見渡しても、公園の遊具や木々があるだけ。

 人も行き交っているし、誰が撮ったかなんてわからない。

「パパラッチ、みたいな?」

「何よそれ……脅すつもり?」

「話が早いね」

 彼は自信満々な顔で脚を組む。

 悪い想像ばかりが頭を巡り、座っているのにクラクラする。

 あんな写真、歩が見たら……。

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