窓に影2
「もう、バカ! ほら、行くよ」
中途半端な関係なのに、ここで勘ぐられるのはイヤ。
こんなところで歩の口から答えを聞くのはもっとイヤ。
だけど、私のこの言い方が、
「私たち、何かしらあります」
と言っているようなものだと気付くのに、そう時間はかからなかった。
先に外に出ると、歩も後からついてくる。
もわっと夏のにおいがして、夕方の柔らかい日差しが肌を包み込んだ。
「で、どこ行くのよ?」
「さぁね」
さっき母に答えたような言い方をする歩は、
「俺について来い」
と言わんばかりに歩き始めた。