窓に影2
何とかしなければ。
こいつの都合のいい人間になってたまるか。
私は谷村君を睨み続けた。
「俺、そんなに嫌われちゃった?」
「当たり前じゃない」
「悪いようにはしないよ。言うこと聞いてくれればね」
すでに最低最悪な扱いを受けてるっての。
歩の浮気疑惑が晴れて、平和な毎日を送れていたはずなのに。
まさか今度は自分が強制的に浮気させられる状況になるなんて。
「これからよろしくね、恵里ちゃん」
再びキスをしてこようとした谷村君を思いきり突き飛ばし、私は逃げるように走り出した。
一刻も早く、歩に会いたかった。
私は歩が好きなんだよって伝えたかった。