窓に影2

 受信ボックスを聡美と眺める。

 私はメールを開く勇気が出ない。

「読んどいたほうがいいんじゃない?」

「わかってる、けど……」

 何か無茶な命令とか書かれていたら嫌だし。

 親指に力は入りそうにない。

 暫く画面とにらめっこをして、

「あたしが先に読んでみようか?」

 という聡美の提案を受けることにした。

 カコッというボタン音がやけに耳に響く。

 内容はどんなものだったのだろうか。

「はぁ?」

 と言った後、笑い始める聡美。

「何……?」

「見てみなよ。こいつ、わけわかんないから」

 恐る恐るディスプレイを覗くと、そこには可愛い猫の画像が映し出されていた。

〈子猫見つけた〉

 という文と一緒に。

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