窓に影2

 なりふりなど構っていられない。

 ちゃんと話して、謝って、わかってもらわなきゃ。

「あのね、違うの。これは……」

 歩の顔を見上げると、今までに見たことがないくらい冷たい顔をしていて、私は言いかけて言葉を失った。

「悪かったよ」

 そして発せられた謝罪の言葉。

「俺、勉強ばっかやってて、恵里にほとんど構ってやれなかったもんな」

 何を言い出すのよ。

 そんなの、もうしばらくの辛抱だってわかってる。

 受験が終われば、もっと二人でいろんなことできるんだから。

「これからは俺のことなんて気にしないで、自由に遊べよ」

 歩は低いけど決して甘くない声でそう言って、しがみついていた私の腕を一本ずつ放した。

 そのセリフに込められた意味は、空っぽの頭でも掘り出すことができる。

 視界が、滲んだ。


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