窓に影2
「それって……つまり、別れるってこと……?」
わかっていても、確認せずにはいられなかった。
首を横に振ってよ。
違うよって否定してよ。
わずかコンマ数パーセントの可能性にすがりつく。
しかし……。
「そうなるな」
それだけ言って、歩は部屋を出ていった。
その場にへたり込むと、フローリングがやけに冷たく感じた。
ドア越しに歩の爽やかな話し声が聞こえる。
やがて玄関の扉の開閉音がして、彼は桐原家から出ていってしまった。
涙を拭うことすら忘れてしまい、頬を伝い顎から床に滴が落ちた音で我に返る。
乱暴に目をこすると、つけまつげは取れ、手の甲がアイラインやマスカラなどで黒く汚れた。
面倒になってつけまつげを両目分剥がし、テーブルに放る。
汚れた手はそのままに、フラフラとベッドに移動した。