窓に影2
ベッドから起き上がると、目眩と立ちくらみがした。
慣れるまでじっとして、視界が晴れてからカーテンをめくった。
向かいの窓、左下に影。
熱があっても、私は毎日ここから彼の存在を確認した。
歩はいつも、何事もなかったように左下に影を作る。
ずっと思っていた。
歩が私を思う気持ちは、私が彼を思う気持ちよりずっとずっと小さいんだと。
少しでも好いてもらえて幸せだった。
あんな画像撮られてしまってごめんね。
大好きでした。
今でも大好き。
もう言い訳なんてしないから、受験に専念しなよ。
私はまた一通り泣いて、数日ぶりの風呂に入った。
未だに残る歩の印が、妙にもの悲しい。
それが早く消えるように、いつもより強めに体をこする。
こんなことしても、消えないのはわかっていたけれど。