窓に影2

 谷村君はズルズルジュースを吸い、ハンバーガーにかぶりつく。

「何とか言いなさいよ」

「言えないね」

 もしゃもしゃと噛み砕きながら発せられた答え。

 私たちを別れさせるためって言ってた。

 言い方からして、主犯は谷村君じゃなさそうだ。

「探らないでやってよ、結局向こうも失敗したみたいだからさ」

「は? 失敗?」

「うん。振られたみたいよ」

「歩にってこと?」

 彼は再びズルズルジュースを吸いながら頷いた。

 主犯は歩側の人間らしい。

 浮かんだ顔はただ一つ。

 橘朝子。

 彼女ならこういうこともやりかねないと思うし。

 どういうわけか二人は手を組んで、見事別れさせることには成功した。

 それなら、谷村君が歩のアドレスまで知っていたことにも納得だ。

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