窓に影2
「ねー、どこに連れてくつもりよ」
バス停に向かっているらしいが、未だに行き先は聞いていない。
「行きゃわかるって」
往生際の悪いやつめ。
私が普段帰宅する際に利用する方角の停留所でバスを待つ。
歩の場合、普段は登校する際に使う停留所だ。
バスは私たちが到着してすぐに来た。
ICカードを使ってバスに乗り込み、車内中ほどの座席に二人で座る。
行き先を告げられていないことに納得のいかない私は、彼と会話をするでもなく、ただ見慣れない車窓からの風景を楽しんだ。
進むごとに辺りは暗くなっていって、そろそろ日の入り直前だ。
「次は、南高校前。南高校前です。お降りの方は降車ボタンでお知らせください」
アナウンスが流れ、歩がボタンを押した。
「え? 南高に行くの?」
「うーん。大雑把に言えば、そう」
「意味わかんない……」
何よ、大雑把って。