窓に影2

「ごちそうさま。じゃああたし、帰る」

 席を立つと、谷村君が私を引き止める。

「せっかくだからデートしようよー」

「お断りします」

「じゃー最後にもう一回」

「何を?」

「チュー」

 そう言って唇を尖らせた彼の頭を小突き、私は店を出た。

 そしてまっすぐバス停に向かい、帰宅する。

 歩と過ごすはずだった時間は、全て自分磨きに使おう。

 そう決めた。



 夕食を食べた後、私は部屋で30分ホットヨガをやって、体が温まったところでウォーキングに出た。

 秋の夜はもう大分涼しくなっていて、燃える体に心地が良かった。

 どれくらい歩いただろうか。

 1時間以上シャキシャキと歩いて、もう少しで自宅に到着するという頃。

 私は昔歩とよく遊んだ公園に立ち寄った。

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