窓に影2

 夜の公園には、もう誰もいなかった。

 あの頃よりずっと小さく見える滑り台に上ると、鉄のアーチで額を打った。

「いててて……」

 昔は立ったままでも素通りできたのに。

 大きくなったんだな、私も。

 そして、歩も。

 滑り台に寝転がると、空に満天の星空が見える。

 目を引いたのはオリオン座。

 小さい頃……まだ私たちが幼稚園だった頃。

 七夕の話に魅了された私たちは、家をこっそり抜けてこの公園に星を見に来たことがあった。

 途中ですっ転んだ歩は大泣きして、私は抱きしめて頭を撫でてあげたっけ。

 あの頃は体も私のほうが少し大きくて、歩は弟みたいなものだと思っていた。

 小さくて泣き虫な歩を、ずっと私が守るんだって思ってた。

 今回も、私が歩を守るつもりでいた。

 頑張っている歩に迷惑かけないように……私が一人で何とかしようと思ってた。

< 181 / 232 >

この作品をシェア

pagetop