窓に影2
夜の公園には、もう誰もいなかった。
あの頃よりずっと小さく見える滑り台に上ると、鉄のアーチで額を打った。
「いててて……」
昔は立ったままでも素通りできたのに。
大きくなったんだな、私も。
そして、歩も。
滑り台に寝転がると、空に満天の星空が見える。
目を引いたのはオリオン座。
小さい頃……まだ私たちが幼稚園だった頃。
七夕の話に魅了された私たちは、家をこっそり抜けてこの公園に星を見に来たことがあった。
途中ですっ転んだ歩は大泣きして、私は抱きしめて頭を撫でてあげたっけ。
あの頃は体も私のほうが少し大きくて、歩は弟みたいなものだと思っていた。
小さくて泣き虫な歩を、ずっと私が守るんだって思ってた。
今回も、私が歩を守るつもりでいた。
頑張っている歩に迷惑かけないように……私が一人で何とかしようと思ってた。