窓に影2
元々学校生活のスタイルが違う私と歩は、顔を合わせることは全くないまま11月を迎えた。
相変わらず毎日遅くまで勉強しているらしい歩。
こうして毎日カーテンをめくってしまうのは、別れて一ヶ月が経とうとしている今でも未練がたっぷりと残っているのだと思う。
そして、来る11月20日、午前0時。
土曜日だったこの日、私は一人でひっそりと誕生日を迎えたのだった。
友達からはおめでとうメールが何件も来たが、歩からのメールはやっぱりなかった。
「おめでとー!」
「わぁ! ありがとう」
昼間、聡美がプレゼントを持って家に来てくれた。
ゲーセンで勝ち取ったというパンダのでっかいぬいぐるみだった。
「よく取れたね、こんなの」
「そのゲーセンで知り合いがバイトしてたから、話を付けて600円で譲り受けたのよ」
勝ち取ったって、そういうことか。
相変わらず、聡美は逞しい。