窓に影2
13・窓と窓の距離
家が隣で、部屋もちょうど向かい合っていて、私たちの距離はわずか2~3メートル。
架けたはずの橋は崩壊し、私たちはぐっと離れてしまった。
遠い。
この2~3メートルがとてつもなく遠い。
いつだって顔を合わせられる距離なのに、私に見えるのは彼の影だけ――。
ウォーキングから戻った私は、ゆっくりと風呂で温まって部屋に戻った。
長風呂をしたためか、時刻はもう11時を過ぎている。
私の誕生日も、もうすぐ終わってしまう。
髪を乾かしてからカーテンをめくると、左下に影があった。
その影が少し動いたので、ぱっと手を離す。
もう寝ようと思い、明かりを消してベッドに入った。
充電器に挿していた携帯が、メール受信を知らせるイルミネーションを発している。
開くと、谷村君からだった。
〈遅くなったけど、誕生日おめでとう〉
なんだ、お前かよ。
なんて思いながらも返信。
〈ありがとう〉