窓に影2
送信完了のメッセージが表示された数秒後、今度は電話がかかってきた。
会話なんて久しぶりすぎる。
どうしよう。
どんな声で出ればいいんだろう。
迷っていると、簡易留守録が作動した。
慌てて通話ボタンを押す。
「もしもしっ!」
「おう、俺」
「うん」
少し懐かしい歩の声は震えているように聞こえた。
「あのさ、俺……」
「どうしたの?」
新しい女ができたという報告を覚悟して、息を飲んだ。
「さっき相原さんに殴られた」
「は? 聡美?」
「うん」
殴られたって……何があったのよ?
私が聞く前に、歩の口から説明される。
「突然相原さんがうちに来てさ、部屋に入るなり胸ぐら掴まれて……」
さっきの影は、どうやら聡美だったらしい。