窓に影2

 私は近くの棚にあった何かを掴み、向かいの窓をめがけて思いっきり投げつけた。

「ふざけんなー!」

 モノは真っ直ぐに歩の部屋へと吸い込まれていく。

 歩が「うわっ」と声を上げ、投げたものをひらりとよける。

 ガシャッ

 ゴロゴロゴロ……

 ゴゴン

「あぶねーな!」

 私が投げたのは、どうやら目覚まし時計のようだ。

「あんたね! 集中できないのを人のせいにしてんじゃないよ!」

 家と家の間に私の声が響く。

 電話なんてなくても十分に声は届いているだろう。

 きっと近所迷惑なくらい。

「男なら自分の言動に責任持て! 今集中できないんなら大学なんて受かんないんだよバーカ!」

 そこでピシャッと窓を閉めた。

 壁を背にして座り込むと、また涙が浮かんできた。

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