窓に影2

「そうか。俺、振られちゃったな」

 はは、と力なく笑った歩。

 違うよ、わかるでしょ?

 私、天邪鬼なの。

 あんたが一番よく知ってるでしょ?

 一ヶ月の間にそれすら忘れちゃった……?

 思えば、私が素直になれないばかりに事をややこしくすることが多かった。

 私が素直になれば、変えられるかな。

 私たちの、未来。

「あたし待ってる」

「え?」

「大学受かるまで待ってやるって言ってんのよ」

「……恵里」

 ドキドキするけど、今言わなきゃ絶対に後悔する。

 相変わらず素直な言い方なんてできないから、読み取ってよ。

 受験の問題より簡単でしょう?



「だからさっさと、抱きしめに来なさいよ!」



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