窓に影2

「恵里、ごめん。本当にごめんな」

 力強く体を押し付けられながら、歩はただ謝った。

 私は無言で頷き、しっかり彼にしがみついた。

 温かい彼の手が私の両頬を包み、道端だというのに何度も口付ける。

 それくらいお互いが夢中だった。

「いっぱい泣いたんだからね」

「ごめん」

「熱だって出たんだから」

「え? ……ごめん」

「ちゃんと責任取りなさいよね」

「どうすればいい?」

「黙って好きって言いなさいよ」

 再び口付けられ、熱い吐息と共に思いは確かに伝わってきた。

「聞こえた?」

「聞こえない。やり直し」

 天邪鬼な私は、そう言って何度もやり直させた。

 歩は笑って応じてくれる。

 幸せ……、でも。

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