窓に影2

「くしゅん!」

 部屋着と母のサンダルのまま出てきた私は、とうとう寒さに負けてしまった。

「また熱出すなよ」

 歩は温めようと私の腕を撫でる。

 涙も冷えて、顔から足まで固まりそうだ。

「大学、受かってよね」

「頑張る」

「受かるまで勉強の邪魔はしない。部屋にも行かない。クリスマスも正月もバレンタインも無し!」

「それはちょっと寂しいんだけど」

「あたしも一緒よ。でも、集中して」

「わかったよ、その代わり……」

 再び腕の中に納められた私は、次の言葉に耳を寄せる。

 頭上から発せられた声は囁くように小さかった。

「受かったら一世一代のお願い聞いてくれる?」

「お願いって?」

「内緒。でもずっと考えてたことなんだ」

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