窓に影2
一世一代と言うくらいだから、よっぽど大きい願い事なんだと思う。
内容も教えてもらえないのに、素直に頷けるわけがない。
「そんな顔すんなよ」
「じゃあお願いの内容教えて」
「俺が落ちたらできなくなるから、今は言えない。でも聞いてくれなきゃ俺が恵里の部屋に通い詰めて合格できないかも……」
何よ、それ。
脅してるの?
「わかった。お願い聞くから。だからちゃんと勉強して、絶対受かってよね!」
半分やけくそで条件を飲む。
歩のことだから、きっと無茶苦茶なことじゃないって信じてるし。
「俄然やる気出た」
満面の笑みの歩を見て嬉しくなった。
これでやる気出してくれたのなら、まあいっか。
「くしゅん!」
「冷えるし、もう戻ろう」
「うん」
安心したら、冷えがやけに堪える。