窓に影2
「俺の部屋、来る?」
「合格するまでお預け」
「えー、3月まで? 長いなぁ」
白い息を吐きながら歩は私たちの部屋の窓を見上げた。
2~3メートルの隙間には澄んだ空気が流れている。
「しっかり頑張って……ちゃんと迎えに来てよね」
「うん」
そして私たちは各々の部屋へと戻った。
約束は3月の合格発表の日。
窓に橋は敢えて架けない。
それまでは私のこと忘れたっていいから。
他の女に手を出したりしたら許さないけど。
だからちゃんと合格して、次の春には一緒にK市に通おうね。
私は再び窓から左下の影を確認して、ベッドに入った。
翌日、私が出かけている間に歩からプレゼントが届いていた。
新しい目覚まし時計だった。