窓に影2

 放課後、聡美と街に繰り出した。

「去年のクリスマスは笑えたなぁ」

 雑貨を見ながら突然呟いた聡美。

 思い出し笑い、キモいから。

「何がよ」

「だって恵里ってば、酔っ払って記憶なくしたとかいうし」

 げっ!

 嫌なこと思い出しちゃった。

「しかも西山に介抱してもらったんだっけ」

 目に涙を溜めながら大笑いし始めた彼女は、手に持っていたイチゴのクッションをバシバシ叩いている。

 去年、クリスマス合コンに参加した私は、歩と当時の彼女に遭遇。

 歩とバスで帰ることになり、バスの中で酒が回って……。

 ああ、思い出したらめちゃくちゃ恥ずかしい。

 でも、それがきっかけで歩の気持ちを引きつけることが出来たんだっけ?

 嫌な思い出だけど、結果オーライだったかな。

「今年はあたしと飲むか?」

 他人事だと思ってケラケラ笑う彼女の手からクッションを奪って一言。

「遠慮します」

< 202 / 232 >

この作品をシェア

pagetop