窓に影2


 自分からクリスマスも正月もバレンタインも無しと言っておいて、少し後悔していたりする。

 高校最後のイベントを歩と過ごすチャンスだったのに……。

 なんて、それよりも合格よ、合格。




 こんな調子でとうとうクリスマスイブ。

 終業式を終えて帰宅した私は、明日何を着ていくかや髪型はどうするかなど、雑誌を見ながら思考を巡らせていた。

 そういえば、歩は明日も学校なのかな。

 学校だろうな、きっと。

 あの南高が補習をやらないわけがない。

 付き合ったり別れたりして思ったけど、本当に住む世界が違う気がする。

 無理に時間を合わせないと、顔を見ることさえない。

 こんなに近くにいるのに、遠距離恋愛をしてるみたい。

 遠い存在なんだな、歩って。

 受験が終わって、合格が決まったら、もっと離れてしまわないだろうか。

 手が届かない……なんてことにならないだろうか。

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