窓に影2

 それでも、こうして影だけでも見えるなら……。

 そこにいるってわかるから、本当の遠恋よりましなのだろうか。



 年が開け、三学期が始まった。

 相変わらず歩とは顔を合わせぬまま、ただ合格を願って過ごす日々を繰り返す。

 歩と最後に会って、二ヶ月ほど経つとある金曜日のこと。

「はぁ、明日からセンター試験かぁ」

 教室でぽつりとこぼしたのは、ほのかちゃんだった。

「センター試験って?」

「え? 知らないの?」

 心底驚いた顔をしているほのかちゃんは、大学受験の仕組みを知らない私に説明をしてくれた。

「……というわけで、国公立大学はセンター試験を受けないと受験できないんだよ」

 知らなかった。

 試験が二つもあるなんて。

 しかもその試験が明日からだなんて!

 てっきりまだまだだ先だと思ってた。

「恵里ちゃんも、今日くらい応援してあげたら?」

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