窓に影2

 心ではいつでも応援しているけど、今日くらいエールを送ってあげたほうがいいのだろうか。

「そうだね。メールしてみる」

「メール? 今日くらい直接会って言ってあげなよ。明日からの二日で、受けれる大学が決まるんだから」

「……そっか。なら、会ってみようかなぁ」

 合格まで我慢と決めたのに、それを崩すのはなんだか腑に落ちないけれど。

 頑張って、くらい言ってもバチは当たらないよね。



 放課後、帰宅するバスの中で考える。

 何か差し入れしたほうが良いんだろうか。

 栄養ドリンクとか?

 いやいや、眠れなかったら困るし。

 お守りとか合格鉛筆?

 いやいや、どこに売ってるのかも知らないし。

 単純に歩の好きなものにしよう。

 歩の好きなもの……ああ、その手があったか。

 私はバスの中で小さく拳を握り、一つ前の停留所で降車して買い物に出かけた。

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