窓に影2
夜、私は上着を羽織って西山家へと向かった。
手には歩のために準備したものをしっかりと抱いて。
これを渡して頑張れって伝えたら、勉強の邪魔にならないようにすぐに帰るんだ。
なんか久々すぎて緊張する。
だって、この家に来るのは一度別れて以来3ヶ月ぶりなのだ。
震える指でインターホンを押すと、すぐにドアが開いた。
カナママだった。
「恵理ちゃん! 久しぶりじゃなーい。ささ、上がって上がって」
カナママは私の腕を引いて、家に引き込もうとする。
「あのね、これ渡したらすぐ帰るつもりで、勉強の邪魔しちゃいけないし……」
「前日なんだから勉強なんてしてるわけないじゃない。ごろごろしてるわよ」
「え? そうなの?」
「いいから入って、歩も喜ぶわぁ。あら、それなあに?」
私が抱えている箱に気がついたカナママは、すぐに中身が何であるかわかったらしい。
「すぐ準備するわね」
と言って、キッチンのほうへと行ってしまった。
どうすることもできず、私は歩の部屋へと向かった。