窓に影2
歩は改めてケーキを口へと運んで食べた。
もぐもぐ。
もぐもぐ。
ごくん。
ノーコメントのまま食べ続ける。
私は頬杖をついてその様子を眺めた。
何とか言いなさいよ……。
「美味しい?」
痺れを切らした私は、とうとう自分から聞いた。
歩はにっこり笑って、
「すげー美味い」
と甘い声で、搾り出すようなかすれた声を出した。
ドキッ……
私は変態かもしれない。
歩は純粋に答えただけなのに、私は性の衝動に駆られてしまった。
恥ずかしくなって俯く。
「これくらいで照れんなよ」
「別に、照れているわけじゃ……」
本当の理由を語るわけにもいかず、私はまた俯いた。