窓に影2

 歩は残りのケーキを頬張り、それを噛み砕きながらティーカップを握った。

「合格発表、3月8日なんだ。結果がわかったら、連絡する」

「うん。待ってる」

 歩は手に持ったカップを私の方に向けてきた。

 私もカップを持ち、彼に向ける。

 カチン

 誓いの乾杯、なんて呼ぶとちょっとクサいけれど。

 結局この日はキスさえしないまま帰宅した。







 そして3月1日、卒業。

 それからはあっという間に合格発表の日になった。

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