窓に影2
15・二人の未来




 3月8日。

 合格発表の日。

 私は朝からK大へと出かけていった歩からの連絡を待っていた。

 電話が震える度に興奮したが、なかなか歩の名前は表示されない。

 こういう時の広告メールって紛らわしくてムカつく。

「まだかなぁ」

 携帯を広告メールを削除しながら呟いた。

 願うことは一つだけ。

 歩が合格していますように……。

 ハラハラする。

 落ち着かない。

 携帯を握ったままベッドに移動し、寝転がった。

 心を鎮めるように深呼吸。

 スー ハー……

 いつもなら気にもならないのに、天井の模様が不気味に見える。

 そこから目を逸らし、再度携帯を開いてWebを閲覧した。

 すると、昨夜はよく眠れなかったためか、私は気付かぬうちに眠りに落ちていった――。

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