窓に影2
ヴー ヴー ヴー
速いリズムで震える携帯で目を覚ました。
「もしもし……」
「あ、俺」
相手は歩だ。
「大学、どうだった?」
私はやや緊張しながら意識を受話口に集中させた。
「ダメだったよ」
低くて甘い声でそう告げた歩。
言葉と声が合っていない。
「うそ……」
不合格の知らせに、私は頭が真っ白になった。
「だから、もう恵里には会えない」
「は? 何言ってんの? 隣じゃない」
「いや、ダメなんだ。もう会えない」
「何でそんなこと言うの?」
私が堪えきれなくなった涙をボロボロ流すと、歩は笑い始めた。
「あははは、何で泣くんだよ」
電話越しに話していたはずの歩は、いつの間にか私の部屋にいる。
「だって、もう会わないって……」
「あははは」
私は泣き、歩は笑う。
そんな……夢を見ていた。