窓に影2

 息が乱れ、熱が籠もる。

 泣いて、鳴いて。

 今は幸せだけを噛みしめよう。

「歩……」

「ん?」

「あたし、幸せ」

 歩はクスッと笑った。

「もっと幸せにしてやるよ」

 力強い言葉に、目から涙が流れた。

 どこからそんな自信が生まれるのよ。

 バカじゃないの?

 でも、信じられるから不思議。

「だから、恵里も俺のこと幸せにしてくれる?」

 私は無言で何度も頷いた。

 歩のためなら頑張れるよ。

 二人でもっともっと幸せになろうね……。





 この日の夜、夕食を取り終わった後。

 玄関のあたりが騒がしくなったなと思ったら、部屋に歩が入ってきた。

「よっ」

 歩は何となく緊張した様子で、硬い表情をしている。

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