窓に影2



 一階に降りると、父と母、そして歩の両親がリビングにいた。

「お待たせ」

 歩に手を引かれるまま部屋に入ると、四人の視線が私たちに刺さる。

 ……緊張する。

「何なのよ、改まって」

「結婚するとか言い出すんじゃないだろうな」

 歩の両親がいつか聞いたような会話をしている。

「まだ早いよ」

 と苦笑いした歩は、四人が腰掛けるソファの正面に正座した。

 私もそれに倣う。

 左から父、母、カナママ、おじさん。

 見上げると何とも威圧的に見える。

 ふと歩の顔がこちらに向いた。

 やっぱり表情が硬い。

 それをわかっているからか、親たちの顔も硬い。

 緊張は双方から見て取れる。

「四人にお願いがあるんだ」

 ゴクッ

 それぞれが唾を飲み込む音がした。

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