窓に影2
歩がサッと頭を前に傾ける。
武士のようで凛々しいと思った。
緊張は更に増す。
私の手は汗でびっしょりだった。
「おじさん、おばさん。俺、4月からK大に行きます」
「ああ、そうみたいだね」
「合格おめでとう」
私の両親のぎこちない返事が部屋に響いた。
「親父、母さん。恵里はMTビルで働くっていう夢があるんだ」
「おお、そうか」
「恵里ちゃんにならできると思うわ」
歩の両親もぎこちない。
歩は膝の上でぎゅっと拳を握った。
「大学生とショップ店員、きっと生活のリズムは全然違う。でも俺たち、これ以上すれ違いたくないんだ。だから……」
視線が歩に集まる。
歩は頭の角度を更に深めた。
「俺たちをK市で同棲させてください」