窓に影2

 光を取り込もうと、パチッと一気に目を開いた。

 飛び込んできた風景に私は息を飲む。

 花壇ほどの限られたスペースに流れる小さな川。

 その周りを覆う草花。

 そして暗闇に現れては消える、幾十に及ぶ黄緑色の星たち。

 ファンタジックにその場を照らしては自分の存在をアピールする、蛍。



「すごい……」

 ため息混じりに呟く。

 この光景を見ると、はしゃいだり騒いだりする気にはなれない。

 ただ静かに、この中に溶け込みたい……。

 そう思った。

「キレイだろ」

 声に出さず、頷く。

 歩は数歩後方へ下がり、コンクリートの段差に腰掛けた。

「ビオトープって言うんだ」

「ビオトープ?」

「そう。この枠の中に、生態系を作ってんの」

 
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