窓に影2
どうしよう。
ドキドキしてる。
心臓を動かしすぎて、動いてもないのに息が苦しい。
フーッと深呼吸をすると、歩が顔を覗いてきた。
「どうした?」
「いや、落ち着こうと思って」
歩の肩から頭を離して二回ほど深呼吸を追加。
息が苦しいのだけは解消できた。
「落ち着かない?」
あんたのせいだよ。
なんて言わないけど。
「……かなりね」
「俺も」
そう言って、歩は立ち上がった。
そしてビオトープまで歩くと、蛍をまとってこちらを振り向いた。
「恵里」
「ん?」
「俺の女になれよ」
せせらぎなんて、もう全く聞こえない。