窓に影2
帰り道、私と歩はしっかり手を繋いで、不気味な校舎裏の路地を歩いた。
「ここ、出るらしいぞ」
「やめてよ」
「やっぱ怖いんじゃん」
「誰もそんなこと言ってないでしょ」
私の彼は相変わらず腹の立つことを言うのが好きなようで、腹を立てる私も言い返すのが好きらしい。
「ねえ、今女の人の声聞こえなかった?」
「聞こえねーし、そんな手に引っかからねーし」
「チッ……」
歩の笑い声が木々に吸収されていく。
緑と土の匂いがする涼しい風に吹かれても、繋いだ手は温かかった。