窓に影2
賢いくせにバカみたいに笑う歩。
「声より腹が出てるぞ」
楽しそうなこいつを憎めない。
「だからって突っつかないでよ」
「恵里に触りたいんだよ」
何よ、それ。
ちょっとドキッとするし。
ボッと顔の温度が上がった。
「バカ、変態」
「変態いうな。朝っぱらから何ハレンチなこと言ってんだよ」
「歩こそ、エロオヤジ発言だし」
情事の後は相変わらず。
しかし言い合いの中に、少しだけ色気が含まれる。
「恵里」
ふわっと風が吹いて、包まれた。
額にそっと唇が触れて……
「おやすみ」
歩、こんなクサいことするタイプなんだ。
なんて、物心付いたときから知り合っているのに新鮮な気持ちになったりして。
「もう朝だけどね」
と言い返してしまうのはもう癖だ。
「はは、そうだな」