窓に影2

「あーあ。歩、あたしのことどう思ってんのかな」

 鏡の自分に向けて問いかける。

 その呟きに反応したのは、鏡の自分ではなく聡美。

「正直、あたしもちょっと不安だったりするけどね」

「え?」

 顔を上げると、彼女は真剣な顔になっていた。

「だって、元カノ、超美人だったし」

 グサッ。

 歩は美人女子大生と付き合っていた過去がある。

「浮気の前科があるわけだし」

 グサッ。

 美人女子大生と付き合っていながら、私と浮気をした。

「しかも、西山の家から女と出てきたんでしょう?」

「あ……!」

 すっかり忘れていたことを思い出して、気の抜けた声を出してしまった。

 少し前に、歩が南高校の制服を着た女子と一緒にいるのを目撃してしまったのだった。

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